2025年12月9日(火)~27日(土)土曜日は18時まで、最終日は17時まで。

自然と人とのバランスが圧倒的に自然の側へと傾いている場所に暮らしていると、人の営みは、日々少しずつ整え続けなければ、たちまち自然に飲み込まれてしまう。
そこには、数えきれないほどの存在と、意識せずにはいられない存在があった。
本展は、そうした自然と人とのあわいに身を置く日々の中から立ち上がってきた感覚や気づきを、作品というかたちにしたものである。
「あわい(間)」をテーマに長年にわたり写真作品の制作を続けてきた。その過程で、写真をベースとしながら、その上に着彩やドローイングを重ねる表現へと行き着いた。
リアリティとフィクション、そしてフェイクの境界を行き来し、写真の「現実を写す力」が揺らぐ現代において、写真というメディアの制約から解き放たれた新たな表現の可能性を探求している。そこには、現実と虚構の「あわい」が立ち現れる。
写真のリアリティと絵画的なイメージを融合させるこの試みは、写真がもつ枠組みを曖昧にし、新しい視点と解釈の余白を生み出している。
また、これまで数多くの建築を撮影しその佇まいや記憶に宿る時間を見つめ、BMC(ビルマニアカフェ)との協働を通じて建築をめぐる数々の書籍制作にも携わってきた。 今回の展示では、10月に大福書林より刊行される『特薦いいビル 千日前味園ビル[別冊月刊ビル]』(BMC【著】/西岡潔【写真】)にあわせ、味園ビルの写真を用い、建築が内包する記憶や都市の層を新たなかたちで立ち上がらせる新作も発表する。
西岡 潔 Nishioka Kiyoshi (写真家・アーティスト)
1976年大阪府生まれ。建築、広告、エディトリアルを中心に企業イメージやビジュアル撮影を手がける一方、アーティストとしては、観察を通して浮かび上がる関係性や概念を、写真、映像、ドローイングを重層的に重ね合わせることで表現している。2012年「マトマニ」で第14回三木淳賞奨励賞受賞。2015年より奈良県東吉野村に拠点を移し、2021・2022年には「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」曽爾エリアキュレーターを務める。2023年、自身のスタジオギャラリー「マトマニスタジオ」を開設し、地域に根ざした創造の拠点づくりを進めるほか、「はじまりの東吉野オープンアトリエ」や「オオカミ盆踊り」といった企画にも取り組む。2025年、KG+ SELECTに選出。
https://www.instagram.com/nishioka_kiyoshi/