山下智子「たこあげ あるいは つり」

2022年11月8日(火)~11月19日(土) ※最終日は17時まで

海外での滞在制作においてその環境の影響を受けてオープンな感覚になり、絵かきだからといって何でも絵で応えようとするのはとても乱暴に感じられたことがありました。凧をあげる、釣りをする、花を摘む、石を集める、甘いものを食べる、動物に触れる、音を鳴らす、紙を折る、踊る。その国の言葉でうまく話せない私はひとり遊びの中で、たこあげとつりの動きはよく似ていることに気がつきました。根源的な遊びの中にある期待と誘惑の呪術を感じ、初めてのインスタレーションとパフォーマンスを発表するこ とができました(‘Magical Play‘  ホーエンザルツブルク城 / 2019)。2020年以降、物理的に遠くに行って感覚を変えてしまうことはお休みしていますが、画室にいると色のついた石からできた絵の具と動物の毛を束ねた筆が、原初性と絵画を繋いでいることを了解できるのです。

大阪に面白い本屋さんを見つけました。手元にある生活の話や誰かが書いた奇妙な辞典。お店はまるでコルドロン(魔女が薬を作る釜)の中のように沸いています。ビルの上にそんな場所がある街の奥行きを感じました。描きたいものが変われば素材も変わることを受け入れている私にとって居心地のいいスペースです。むかし魔女だと思っていた柳川杏美さんの和紙を今回初めて材料に加え、絵画の力について考えます。  

山下智子(Yamashita Tomoko)
1983年生まれ。
東京藝術大学絵画科油画専攻卒業、同大学院美術研究科修士課程修了(油画技法材料)。
奈良芸術短期大学洋画コース非常勤講師、近畿大学文芸学部非常勤講師。